Jon Berti
「長い回り道の果てに — ジョン・バーティは28歳でメジャーのグラウンドに初めて立った」
バーティがMLBデビューを果たしたのは28歳を過ぎた2018年9月。多くのメジャーリーガーがすでにスターダムを駆け上がっている年齢だが、彼はそこからメジャーの舞台に居場所を作り続けている。
複数ポジションをカバーできるユーティリティプレイヤーとして、シカゴ・カブスのロスターに柔軟性をもたらしている。長いシーズンで怪我人が続出する中、こうした選手の存在はチームの生命線だ。
「ユーティリティプレイヤー」という肩書きは、しばしば彼の俊足と精度の高い走塁判断を覆い隠す。バーティの足は、数字が示す以上にチームのオフェンスを静かに動かしてきた。
アメリカのマイナーリーグでは、数千人の若者が毎年、バスに揺られながら地方都市を転々とし、最低限の報酬でプレーを続ける。観客が数百人の薄暗い球場で、黙々とグラウンドに立ち続ける生活だ。バーティはその環境を長年かけて抜け出した選手だ。日本のNPBファームとは規模も文化もまったく異なるアメリカのマイナーリーグで生き抜いた年月が、彼の28歳でのデビューをより鮮やかに意味づけている。
日本の野球ファンは「遅咲き」の選手に特別な敬意を抱く文化がある。努力が積み重なって才能を超える瞬間を、日本社会は美しいものとして語る。バーティのような「ジャーニーマン」の物語は、アメリカでは「諦めなかった男」として語られるが、日本では「積み上げた人生」という文脈でより深く、静かに共鳴するかもしれない。
1990年生まれ、アメリカ出身の内野手ジョン・バーティは、2018年9月26日、28歳を過ぎてからMLBデビューを果たした。長年マイナーリーグで過ごした末にメジャーの舞台に立ち、現在はシカゴ・カブスで複数ポジションをこなすユーティリティプレイヤーとして活躍している。俊足と高い適応力を武器に、スコアボードには表れにくい形でチームを支える存在だ。
| 年度 | チーム | 試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025 | CHC | 53 | .210 | 0 | 2 | 11 | .492 |
| 2024 | NYY | 25 | .273 | 1 | 6 | 5 | .660 |
| 2023 | MIA | 133 | .294 | 7 | 33 | 16 | .749 |
| 通算 | — | 514 | .256 | 24 | 128 | 108 | .690 |
出典:MLB Stats API(レギュラーシーズン)
マイナーリーグという名の長い回り道
2018年9月26日、ジョン・バーティはようやくメジャーリーグのグラウンドに足を踏み入れた。その時、彼はすでに28歳を過ぎていた。アメリカのプロ野球では、多くの選手が20代前半にメジャーデビューを果たす。バーティの場合、その道のりはずっと長かった。マイナーリーグとは、メジャーリーグ各球団が持つ下部組織のことだ。Triple-A(3A)からSingle-Aまで複数の階層に分かれており、選手たちは昇格の機会を待ちながら、バスで地方都市を転々とする生活を送る。観客は数百人、照明は薄暗く、報酬はメジャーとは比べものにならない水準だ。それでも選手たちは夢を手放さない。バーティはその環境の中で、静かに、しかし着実にプレーを磨き続けた。
「万能」という武器
日本語に「何でも屋」という言葉があるように、ユーティリティプレイヤーはしばしば「専門家ではない選手」と見なされがちだ。しかしアメリカのメジャーリーグにおいて、複数のポジションを高いレベルでこなせる選手は、ロスター設計上きわめて高い戦略的価値を持つ。限られた枠の中で、サードベースとその他のポジションを兼ねられる選手は、一人で複数人分の役割を担う。監督にとって、こうした選手の存在は長いシーズンを戦い抜く上で不可欠な「保険」だ。バーティはまさにその役割を体現する存在として、シカゴ・カブスのベンチに安定感をもたらしている。
日本のNPBでは、ドラフトで指名された選手は即座に一軍球団の組織に入り、二軍(ファーム)を経て一軍を目指す。これに対しアメリカのマイナーリーグは、Triple-AからSingle-Aまで複数の階層を持ち、時に異なる球団に移籍しながら何年もかけて昇格を目指す選手が多数いる。地理的な移動も広大で、バスでの長距離移動が日常だ。「10年間マイナーでプレーした末にメジャーデビュー」という選手も珍しくなく、こうした物語はアメリカでは一種の感動的な叙事詩として語られる。
スピードという静かな貢献
バーティのもう一つの際立った特徴は俊足だ。メジャーリーグでは近年、Statcastと呼ばれるセンサーシステムがあらゆるプレーを数値化する。走塁速度、盗塁成功率、守備範囲 — すべてがデータとして蓄積される時代に、バーティの足は長いキャリアを通じて磨かれた走塁判断とともに、チームに静かな貢献をもたらしてきた。目立たないプレーの積み重ねがチームの勝利につながる。それはスコアボードには残りにくいが、同じグラウンドに立つ選手たちには確かに伝わる存在感だ。
シカゴという舞台で、続きを書く
シカゴ・カブスは、アメリカ中西部を代表する球団だ。1908年のワールドシリーズ優勝から2016年まで続いた「108年の呪い」は、アメリカのスポーツ文化における伝説的な物語として語り継がれてきた。その球団の一員として、バーティは背番号5をつけてプレーする。28歳でのデビューから今日まで、彼はメジャーの舞台に踏みとどまり続けている。これは単なる継続ではなく、何かを証明し続けることだ。数字ではなく、その持続すること自体が、ジョン・バーティという人間の静かな答えを語っているように見える。
アメリカの野球文化において、ユーティリティプレイヤー(utility player)は「チームのために何でもこなす選手」として評価される一方、「スターになれなかった選手」という見方も存在する。しかし実際には、プレーオフを争う強豪チームほど、こうした選手をロスターに組み込む戦略を重視する。怪我人が出た際のカバー、特定の投手への対策、終盤の守備固め — 使い道は幅広い。日本の「職人」という概念に近い敬意を、こうした選手に向けるアメリカのファンも少なくない。
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